エレガントな音の魔術師CLAUS OGERMAN!

fulmas2008-09-22

ビートルズにハマッてロックを知り、コルトレーンを知ってジャズに憧れた10代の後半、しかしそこに行く前にラジオの音楽番組(毎日聴いていた)によって培われた今で言うワールドミュージック感覚があった。ここ最近ではルーツ回帰的な要素が多いと思われるが、60年代初めまではまだ英米一辺倒の音楽状況でなかったのが幸いしてか、フランスのシャンソン、イタリアのカンツォーネキューバのマンボ、南米のタンゴ等エレガントでロマンチックな音楽が聴けた。パーシー・フェイスの「夏の日の恋」やアントン・カラスの「第3の男」ロス・インディオス・タバハラスの「マリア・エレーナ」等も今聴いてもうっとりする。それが成人する頃ニューロックサイケデリック・ロックを含む)にハマッたのをきっかけにハード・ロックやらプログレッシヴ・ロック、間を置いてカントリー・ロックからスワンプ・ロックと目まぐるしく時代と共に趣向が変わって行った。お皿を回してもうすぐ40年のこの年になる迄自ら追っかけたり、お客さんに教わったりで音楽の知識は随分と在庫が豊富になった。たまにお客さんに「何が好きですか?」と聞かれるが「時代によって変わるし、チャンネルが多くレンジが広いので」とはぐらかす。ロック育ちでジャズ好きなのだがたまに音楽の旅に出ては帰ってくる、そんな合間に聴きたくなるのがクラウス・オガーマンだ。
マイケル・フランクス等A・O・Rが流行り始めた頃先輩のY氏が「オガーマンのレコード無いかなァ?」(フルハウスの開店当初LPを販売していた)と聞いて来た、「名前だけは知ってますが」と答えるだけだった。気が付いてみたら高校時代に聴いたアストラッド(千葉の文化会館で観た)のアルバムやジョビンのアルバム、ジョアンの70年代復活アルバム(?)、ジョージ・ベンソンの「ブリージン」、マイケル・フランクスの「スリーピング・ジプシー」等にクレジットされていた。つまりボサノヴァの隠れた名アレンジャー兼コンダクターであり(クリード・テイラーのヴァーブ系)70年代中期以降のA・O・Rの仕掛け人トミー・リピューマ&アル・シュミットの影の立役者でもある人なのだ。自身でもアルバムを出していて、60年代のアルバム「ラテン・ロック」はラテン風味なオーケストレーションが楽しめそうなのだが希少価値があるので中古盤が結構高い!マイケル・ブレッカーとのコラボレーションは2度アルバムを出しているがバックのメンバーも腕利きでエレガントで格調高い作品に仕上がっている。ベン・シドランやニック・デカーロが好きな人(ソフト・ロック好き)はイケます。聴いて眠くなっちゃうような人は運転前はやめて下さい!