60年代に花開いたコンセプトアルバム

fulmas2008-01-27

ビートルズの「サージャントペパーズ ロンリー ハーツ クラブ バンド」に代表されるアナログ時代のコンセプトアルバムは30cmLPの片面、両面、時には2枚組4面が一つのテーマや組曲だったりして、特に67年あたりから70年にかけて英米で持て囃された。それまでヒット曲の寄せ集め的だったものが時代の変化で芸術性を帯びて来たのだ。英国のスキッフルブーム(ブルースへの回帰)や米国、特にサンフランシスコのサイケデリックブーム(グレイトフル デッド、ジェファーソン エアプレイン、クイックシルバー メッセンジャー サーヴィス、スティーヴ ミラー バンド等が代表格だが変わったところで「イッツ ア ビューティフルデイ」というのがあった、起承転結のあるナチュラルハイ サウンドだが、ある評論家が「マリファナ サウンド」と称した事もあった!)で更にエスカレートした。スモール フェイシスのS・マリオットは自分達が「最初にロックオペラ的なものを始めた」と言っているが、他にもキンクスザ・フーからプロコル ハルム(ユーミンお気に入りの「ソルティ ドッグ」は完成度が高い!)まで良いものがたくさんある!(ストーンズでさえ「サタニック マジェスティーズ」とか影響されている。)アートロックと呼ばれたヴァニラ ファッジやディープ パープルの初期のアルバムそしてピンク フロイドやナイス(K・エマーソンのバンド)等の出現で特に英国ではプログレの流れが一気に加速した。日本人にはメンタル的にも近い英国勢が人気だが(70年代10CCやXTC等の夢中にはなれなかったが出来の良いコンセプトアルバムがある。)、ここではデヴィッド クロスビーあたりを中心にアメリカ勢にスポットを当ててみたい。クロスビーは1941年LA生まれ父はアカデミー賞受賞の映像カメラマン、フォークから音楽に目覚めビートルズに影響されてR・マッギンとバーズを組む。オーネット コールマン(1960年にフリージャズで注目された。)やコルトレーン(1964年「至上の愛」はコンセプトアルバムの正に完成品!)、更にラヴィ シャンカールに影響されラガー ロックを生み出す。(余談ですがビートルズがバーズを観に来た時全員ガチガチだったらしいが、その時ジョージがシタールに影響されてインドに走ったと聞く!)バーズを抜けたクロスビーはジェファーソン エアプレインのアルバム「三和音」に参加、バッファロー スプリング フィールドにもからみ、ジョニ ミッチェルのデヴュー盤をプロデュース、その後あのCS&Nを組む(CSN&Y、C&Nもあり)。一枚しか出していない(?)自身のソロ アルバムは正にコンセプトアルバムで今聴いても鳥肌が立つ程素晴らしい!ジョニ ミッチェルは勿論N・ヤング、G・ナッシュ、デッドやジェファーソンのメンバー等そうそうたるバック陣である。(最近クロスビーはピンク フロイドのバックを務めたと聞く!)米国の他の流れでは例えば前に特集したヴァンダイク パークス(「ソング サイクル」は「サージャント〜」を超えたと評価された!)とビーチ ボーイズ特にブライアンとの関係(「スマイル」の遅まきながらの完成は快挙!)が面白い、ニューヨーク勢ではBSTやシカゴがやはりコンセプトアルバムで大活躍、ジャズの世界にも影響を与えた。NY近郊のウッドストックの主トッド ラングレンも良いコンセプトアルバムを出している。CDの時代になりヒップ ホップの流行ありで忘れかけていたアナログ時代の宝物、夢見心地のコンセプトアルバムに再び光を!!